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山梨大会で3試合に登板した富士学苑の岩木宏亮投手=2025年7月21日、山日YBS、池田拓哉撮影

(21日、第107回全国高校野球選手権山梨大会準決勝 日本航空4―2富士学苑)

 「『リベンジ』がみんなの合言葉でした」。富士学苑のエース岩木宏亮投手(3年)は試合後、声を振り絞った。

 今大会、昨秋と今春に敗れた2校を倒して甲子園へ行こうと、富士学苑の選手たちは燃えた。

 順調なら、準々決勝で帝京三、決勝で山梨学院とぶつかる。帝京三は昨秋に0―1で惜敗、山梨学院は今春に0―7で完敗した相手だ。いずれも岩木投手が先発し、途中降板する悔しさを味わった。

 4強をかけた19日の帝京三戦は、2点差をひっくり返して6―3で逆転勝ち。自身も147球で9回完投。低めに集める丁寧な投球が光った。

 そして準決勝。昨夏の覇者、日本航空を相手に先発した。初回から力強い直球を投げ込んだ。四回まで1―1。互角の投手戦が続いた。

 五回2死一、二塁、日本航空の4番・平井湊人選手(3年)への5球目が真ん中に入った。勝ち越しの右前適時打。悔やまれる失投だった。

 いったん降板して左翼の守備についた。長谷知雄監督が再登板の合図を送ったのは、3点を追う九回。無死で一塁走者が出た場面だった。

 「おまえがエースだよ」。かつて長谷監督が言ってくれたことを思い出した。無死二塁のピンチを切り抜け、雄たけびを上げた。「監督の言葉に応えられてよかった」

 準決勝まで3試合連続で先発した。山梨学院は、この日の第1試合で危なげなく決勝進出を決めた。リベンジは果たせなかった。ただ、全力で強敵に立ち向かい続けた夏に、悔いはない。

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