「木ノ下歌舞伎」主宰で、公演の音声ガイドや字幕を自ら監修するなど近年、演劇の鑑賞サポートに力を入れる木ノ下裕一さんに話を聞いた。
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演劇のアクセシビリティー(誰もが鑑賞できる環境)を強く意識したのは、みんなが劇場に行けなくなったコロナ禍です。障害のある方など、以前からアクセシビリティーなしでは観劇できない人はたくさんいて、自分はそういう方をどこかで「お客さん」と考えてこなかったのでは?と、反省しました。
初めて公演に音声ガイドや字幕を採り入れたのは、2020年です。公共劇場の企画だったので必要な予算が確保できましたが、自分のカンパニーだけでは難しかったと思います。
字幕や音声ガイドを、作品とは別の「オプション」のように思う方がいるかもしれませんが、違います。言葉の選び方一つで、舞台上の何を伝えたいかが変わってくる。もう一つ、別に作品を作るようなものなんですよね。
例えば24年に東京芸術劇場…