25年以上にわたって春の大型連休の間に開かれ、10万人規模の来場者でにぎわってきた大阪府高槻市のジャズの祭典「高槻ジャズストリート」が、存続の危機にある。
入場無料を貫いてきたが、物価高の影響などで赤字が続く。今年は5月3、4日に規模を縮小して開くものの、来年以降は開催自体が見通せない状況だ。
1500人のボランティアで
祭典は、1999年に「高槻を音楽であふれる楽しい街にしたい」と考えた市民の有志が始めた。新型コロナ禍の影響で中止した2020年と21年を除き、毎年大型連休の時期に開いてきた。
最初は阪急高槻市駅周辺の広場など約20カ所を会場にし、50組ほどのミュージシャンが参加するイベントだった。
時を経て、来場者が10万人を超える年があるまでに育ち、商店街や学校のグラウンドなど「街中が会場」となった。昨年は国内外の約800組が60会場で演奏し、約9万人が来場した。
実行委員会は「無料」にこだわってきた。「お金の有無に関わらず、音楽に触れてもらいたい」との思いからだ。
入場だけでなく、公式ガイドブックも無料。オリジナルTシャツの販売や地元企業からの広告、募金などで総額約5千万円の開催経費を捻出し、企画と運営は約1500人のボランティアが担ってきた。「日本最大級の手づくり音楽イベント」とうたう。
ただ、23年は219万円、24年は750万円の赤字となった。規模の拡大で開催費用が膨らんだ上、近年の物価高や人件費の高騰の影響で音響や照明関係の支出が特に増えているという。実行委は「このままでは、なくなってしまう」と危機感を募らせる。
クラウドファンディング活用
赤字から脱却するため、今年は52会場に縮小。新たに、ゲストミュージシャンの出演料などに充てるクラウドファンディング(CF)も活用することにした。
実行委チェアマンで市内でバーを営む大田大地さん(45)は「規模の縮小は心苦しいが、今年は立て直しの年。入場無料は受け継ぎ、なんとか来年につなげたい」と話す。
CFの目標金額は750万円で、オリジナルTシャツなどを寄付への返礼に設定している。専用サイト「CAMPFIRE(キャンプファイヤー)」(https://camp-fire.jp/projects/821696/view)=QRコード=で、5月7日まで募っている。
今年の出演者や演奏時間は祭典の公式ウェブサイト(https://www.0726.info/)で確認できる。