Smiley face
写真・図版
書籍の出版記念イベントでファンと言葉を交わす千葉ジェッツの渡辺雄太
  • 写真・図版

 米プロバスケットボールNBAで6シーズンにわたってプレーした男子日本代表の渡辺雄太(千葉ジェッツ)が13日、著書「心」(ミライカナイ社)の出版を記念してファンとの交流会を開いた。

  • 渡辺雄太が語る、日本に帰ってきた意味と千葉ジェッツの安心感

 八重洲ブックセンターのグランスタ八重洲店(東京)でのイベントには、書籍を購入した多くのファンが来場した。NBA時代のユニホームを着込んだ男性や千葉Jのユニホームを着た子どもらと会話を交わしたり、握手したりした渡辺は「こういうイベントをやると、僕の方がパワーをもらえる。自分のモチベーションになります」と笑みを浮かべた。

 自身2冊目となる著書では主にNBAでの6シーズンを振り返った。世界最高峰の舞台で契約を勝ち取る過酷さから、トロント・ラプターズ時代には一時的にイップス(今まで自然に出来ていたプレーが急に出来なくなる症状)の状態になったことなどを紹介。「外からは見えない部分を書いた。僕が当時思っていたことをそのまま本にした」と語った。

 米国での日々は、うれしいことより苦しいことの方がはるかに多かったという。最後に所属したメンフィス・グリズリーズではメンタル不調にも陥った。ただ、そんな経験も含め、自身に起きたことを文字にすることで、これから夢の舞台を目指す子どもたちを後押しできれば、と願って本を作った。

 渡辺はタイトルに込めた思いについて、「色々な感情を持ちながら、それでも、一個のぶれない心が僕の中に常にあった。それで6年間やっていけた。『心』は僕にとって大事な言葉」と明かした。

 昨年、NBAでの挑戦に区切りをつけ、今はBリーグという新たな舞台に挑んでいる。今季から加入した千葉Jでは主力の立場だが、NBAで味わってきた「がけっぷち」からはい上がる心構えは変わらず持ち続けている。

 「仕事が違っても、僕のような立場で戦っている人たちはいると思う。そういう人たちの参考に、というか、自分と似たような人がいるんだ、ということが分かるだけで救われることもあると思う。一人でも多くの人に、『今日、もう一回頑張ってみよう』と思ってもらえればうれしい」

 書籍は今月16日に一般販売される。

共有