激しい雨の中、100キロの旅へスタートしていく選手たち=2017年6月25日、北海道湧別町

 サブ4(フルマラソンの4時間切り)を達成し、次の目標、2017年6月25日のサロマ湖100キロウルトラマラソンが迫った。

 午前5時に、北海道湧別町の湧別総合体育館前をスタート。オホーツク海に面したサロマ湖の周りを走り、午後6時までに北見市常呂町のスポーツセンターにゴールする。制限時間は13時間だ。

 この100キロというコースは、北海道全体を見渡す地図でも「ここからここまで」と指さしができるほどだ。直線距離で言えば、札幌市から旭川市の少し手前までや、東京から水戸市までにあたる。ごく普通の人ならば車か列車で移動する距離だろう。

写真・図版
100キロのコースは北海道全体を見渡す地図で見ても分かるくらいのスケールだ=Epson Neo Runの画面から

 このため、コース上には給水とかぶり水地点が計30カ所(2017年当時)あり、54・5キロ地点にあるレストステーションではスタート地点で預けた荷物を受け取り、後半戦に備えて様々な物資を補充できる。

 ただ、それでも極限状態に陥る選手がしばしば見られ、制限時間いっぱいを使い、12時間台でゴールをめざす人が多い。つまり、半日以上走っているのだ。

 そんな戦いに備え、私の場合、3、4月は月300キロ以上を走った。しかし、5月はサブ4達成のダメージなどで204キロにとどまってしまった。

 このため、サロマを走り切れる力をつけられたか不安だったが、中標津十二楽走の先輩からは「レースでの負荷は練習の何倍もある。練習量は十分だ」と言ってもらえた。

 そして「これからサロマまでは絶対に暴飲暴食はダメぞ」と助言してくれた。

 私には心臓病があるだけに、事前の体調管理には細心の注意を払った。

 1カ月前から禁酒し、生ものは食べないようにした。就寝時間を早め、体のリズムを午前5時には走れるようにした。

 持って走る医薬品の検討も重ねた。

朝起きると激しい雨 祈りに近い声を聞きながら……

 まずはニトロペン舌下錠。主…

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