沖縄尚学―日大三 決勝で敗れ、アルプススタンドへあいさつした日大三の選手たち=米田怜央撮影

 (23日、全国高校野球選手権大会決勝 沖縄尚学3―1日大三)

 敗れた日大三の選手たちは右翼から相手校のアルプス席に一礼した。「想像以上」の大拍手を浴び、主将の本間律輝は涙をこらえられない。

 「正直、球場全体が相手の応援だった。最後に戦った相手として認められた感じがして……」

 「強打の三高」。小倉全由前監督の時代に2度の優勝を果たし、全国に名を知らしめた。2023年春に三木有造監督が就任してからも、看板は変わらない。昨夏の西東京大会決勝、早稲田実に9―10でサヨナラ負けすると、チームはより一層、打力へのこだわりを強めた。「俺に負けるなよ!」と選手に交ざってダッシュする51歳の監督に背中を押されながら。

 まずこだわったのは「量」だ。冬場は1日千スイング以上。雨が降れば、室内練習場で2時間ぶっ通しでティー打撃をした。そして「質」。春先は見逃し三振が増えた反省から、追い込まれてからの粘りを磨いた。フリー打撃で、気持ち良く打つだけの選手はいなくなった。

 準決勝まで4試合中3試合が2点差以内。長打力に加え、沖縄尚学の倍以上の21四死球や内野安打も光る。監督が「この何十年で一番バットを振った」と認めた選手たちは、力強さとしぶとさを兼ね備えた。

 決勝は一回、本間の適時打で先制したものの、相手の投手力に屈した。三木監督とともに2年半を歩んだ本間は「恩返しがしたかった」。それでも情熱的な監督は14年ぶりの決勝進出に「成長、すごい成長ですよ」。

 万雷の拍手が、日大三に受け継がれる努力の価値を証明していた。

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