Smiley face
写真・図版
長女から突然もらった手紙=おのゆきさん提供

 今から十数年前に離婚した、おのゆきさん。

 元夫から養育費をもらうことなく、3人の子を育ててきた。

 末っ子の長女(19)は昨春、関東の大学に進学。

 長女には看護師になるという夢があり、アルバイトをしながらひとり暮らしをしている。

 たまに、バイト帰りに電話をかけてきて、近況報告をしてくれる。

 今は2回目のヘアドネーション(髪の毛の寄付)に向けて、髪を伸ばしているそうだ。

 電話で話す時はいつも、「体調どう?」と母のことを心配してくれる。

 誰に対してもきちんとあいさつができて、さりげない気遣いもできる。

 我が子ながらよくできた子で、今では友達のような関係だ。

 離婚後もいろんなことがあったが、長女の存在に救われて、なんとかやってこられた。

「あとで読んでね」

 昨年9月、おのゆきさんの父が新型コロナウイルスに感染して入院。

 見舞いのために、長女が帰郷した。

 その際、「あとで読んでね」とエメラルドグリーンの封筒を渡された。

 見舞いを終えて一緒に帰宅した時に、「読んでいい?」と聞いてみた。

 すると「私はお風呂に入ってくるから、その間に読んで」と言う。

 「いいじゃん、一緒に読もうよ」

 そう言って開封すると、便箋(びんせん)3枚とティッシュにくるまれた1万円札が入っていた。

 便箋には「ママへ」という書き出しで、こんな文章が書かれていた。

    ◇

 突然ですが、この1万円は何だと思いますか?

 ママは勘が鋭いから、きっと…

共有