原爆投下と終戦の年の1945年に生まれ、原爆詩の朗読を続けてきた俳優の吉永小百合さんが7月26日、被爆80年を迎える広島市内で「広島への思い」と題して朗読会に臨んだ。原爆詩朗読は「終戦の年に生まれた表現者として果たすべき役目」と考え、86年からボランティアで続けてきた。
この日は、「ちちをかえせ」で始まる峠三吉の「序」や子供たちの詩、栗原貞子の「生ましめんかな」、大平数子の「慟哭(どうこく)」、小園愛子の「燈籠(とうろう)ながし」など8編の詩を、村治奏一さんのギター演奏とともに朗読。約500人が聴き入った。
今回の朗読会は、今年10月に市民団体が開く「世界核被害者フォーラム」を支援する目的で開かれ、「第二楽章を語り継ぐ会」が主催した。
あいさつで吉永さんは「昨年、ノーベル平和賞を日本被団協が受賞したことは本当にうれしい。これからが大切だと思っています」と述べた。
広島で原爆投下直後に生まれ、詩「生ましめんかな」の赤ん坊のモデルとなった小嶋和子さん(79)も会場で朗読に聴き入り、「世界が平和になっていくようにという前向きな明るさと希望を感じ取れました」と話した。
最後は地元小学校の児童らとともに「折り鶴」という歌を合唱した。