2023年9月12日、米ワシントンの連邦国会議事堂で行われた上院軍事委員会公聴会で証言するオールビン氏=AP

 米空軍は8月18日、オールビン参謀総長が11月に退任すると発表しました。任期を2年残しての早期退任です。1月に発足したトランプ第2次政権では、ブラウン統合参謀本部議長のほか、海軍と沿岸警備隊のトップも退任しています。日本で第7代の統合幕僚副長を務めた磯部晃一元陸将は「米国では過去にも政治と軍の緊張関係はあったが、今回の緊張は極めて異質のものだ」と語ります。

  • 在日米軍の司令部機能強化 10年以上訴えてきた元陸将の解説

 ――任期途中の退任は珍しいのでしょうか。

 米軍トップクラスの任期は通常4年です。トップが目標とする軍隊を作るためには、その構想や人材育成、訓練、新たな装備の導入などが必要で、4年くらいの時間が必要だと判断しているからです。任期途中でトップが交代すれば、また最初からのやり直しとなり、軍隊のまとまりがつかなくなる恐れがあります。

 私が調べた限り、米空軍トップが途中で退任したのは、1990年と2008年に当時の米空軍参謀総長が任期途中で退任した例があります。90年はイラクがクウェートに侵攻した直後で、メディアに対して軍事作戦上の不適切な発言をしたという明確な理由がありました。08年は核兵器の管理水準を低下させた組織的責任を問われました。

 途中での退任の理由としては、本人の健康問題や事故、不適切発言、あるいは政治指導者との意見の対立くらいしか思い浮かびません。

 ――黒人として史上2人目の米軍制服組トップに就いたブラウン統合参謀本部議長も任期途中で退任しました。

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 ブラウン議長の在任期間はわ…

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