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それぞれの最終楽章 余命1年と言われて(4)

看護師・朴明子さん

 福島県郡山市での約2カ月にわたる集中的な治療を終えると、自宅のある兵庫県に戻りました。まだ仕事どころではなく、それまで住んでいた神戸市から伊丹市に引っ越し、しばらく母と兄と生活した後、一人暮らしを始めました。そして経過観察のため、神戸大学医学部付属病院や、南東北がん陽子線治療センターと連携している大阪なんばクリニックへの通院を続けていました。

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 がんがある左ほおのあたりは、常に痛みがありました。治療前から医療用麻薬を処方してもらい服用していました。「医療用麻薬」と言っても麻薬なので、どこか危険で、できれば避けたいもの――そんな印象を抱く人も多いかもしれません。けれど私にとってそれは、「痛みをできるだけ消してくれる大切な存在」でした。がんの痛みに苦しむ日々の中で、医療用麻薬は、確かに私から痛みを緩和し、救ってくれたのです。

 医療用麻薬には、飲むタイプのほか、点滴で入れるタイプや体に貼るタイプなど、様々な種類があります。また、定期的に服用・添付するものと、痛みが強いときに臨時に使用するものとがあります。

 私は長時間作用型の錠剤であ…

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