(30日、第97回選抜高校野球大会決勝 横浜11―4智弁和歌山)
横浜の主将とはどんな存在か。阿部葉太は、4万人超が集まった甲子園の決勝で示してみせた。
同点の三回1死二、三塁、カウント2―2と追い込まれても冷静だった。「まずは最低限1人(の走者)をかえそう」。ボール球になりそうな外角高めの142キロにバットをあわせた。左翼線へ、技ありの2点二塁打で勝ち越した。
昨年5月、2年生にもかかわらず村田浩明監督は主将を打診した。「本気の思いに対して本気で向き合ってくれる」。そんな考えからだった。
阿部葉はさすがに迷ったが、思いは同じだった。横浜が甲子園で優勝したのは2006年春が最後。「チームを変えたい。全国制覇がしたい」。言葉で、プレーで、チームを引っ張った。優勝した昨秋の明治神宮大会の後は、「追われる立場は他チームより頑張らないとダメだ」。そして言った。
「俺についてきてほしい」
この日は勝ち越し打だけではない。先制点につなげる盗塁、中堅の守備では六回2死三塁のピンチでダイビングキャッチ。「流れが行きそうなときにファインプレーをしたり、打ったりしてくれる」と捕手の駒橋優樹。仲間からの信頼も絶大だ。
昨秋から負けなしの20連勝でつかんだ春の頂点。阿部葉は泰然とした姿勢を崩さない。
「これが横浜高校の主将のあるべき姿。このような結果を常に求めてやっていきたい」
- 強力打線の激突、速球の精度の差が明暗分ける 横浜が智弁和歌山下す