石橋―聖和学園 九回裏聖和学園2死、千葉を遊ゴロに打ち取り、ガッツポーズする石橋先発の入江=有元愛美子撮影

 (13日、第106回全国高校野球選手権大会2回戦 石橋5ー0聖和学園)

 敗戦は何より成長の糧となる。低く強い打球を打ち、常に一つ先の塁を狙う――。昨春の甲子園で、石橋の入江祥太が学んだ教訓がこの日の先制劇に結びついた。

 四回、先頭で右横手の聖和学園・斎藤佑樹の直球を捉え、左前安打を放ち、犠打で二塁へ。1死一、二塁から相手のワンバウンドの投球を見逃さず、果敢に三塁を陥れた。「これが石橋のスタイル」。四球を挟み、8番伊沢颯盛、9番若月優人が連続適時打を放った。エンドランも絡め、泥臭く4点をもぎ取った。

 1924年創立の県立校で、県内有数の進学校としても知られる。「21世紀枠」で初出場した昨春の選抜大会初戦は能代松陽(秋田)にエンドランと犠飛で決勝点を奪われ、2安打完封負け。「4番・投手」で出場した入江は「自力でここに帰ってきて勝つ」と誓ったが、昨夏の栃木大会は初戦で敗れた。堅守で耐え、いかに少ないチャンスをものにするかを追い求めてきた。

 平日の練習時間はおよそ2時間と限られるが、「時間がないということが逆に集中できることにつながる。それがうちの強み」と福田博之監督。選手だけでミーティングを重ね、各自の役割や状況判断を考え抜いた。連打や長打を望めないからこそ、リードの取り方や、二塁走者が本塁を突く練習を毎日のように繰り返したという。

 作新学院、国学院栃木といった強豪を破った栃木大会の勢いそのまま、聖和学園との「初出場対決」を制して甲子園初勝利。投手としても11奪三振完封と躍動した入江は「めちゃくちゃ楽しかった。自分たちの代で歴史をつくれたことを光栄に思います」。甲子園と同じ100年の節目に、伝統校が大きな足跡を残した。(清水優志)

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