山梨学院―沖縄尚学 七回裏沖縄尚学2死、三塁打を放ち滑り込む宜野座=田辺拓也撮影

 (21日、第107回全国高校野球選手権大会準決勝 沖縄尚学5―4山梨学院)

 最後の飛球を捕った沖縄尚学の宜野座恵夢(えいむ)は、小さくガッツポーズしただけで整列した。捕手として常に冷静でいることを心がけているからだ。だがこの試合、心が燃えた瞬間があった。

 3点差とされた直後の六回。先頭で打席に立つと、低めのチェンジアップを強振した。ライナー性の打球は左翼線に飛んで二塁打に。3連打の起点になり、この回の同点劇を呼び込んだ。

 全試合登板の2年生エース・末吉良丞の球が来ていないことはマスク越しに感じていた。強力打線相手に何とか粘っていたのに、五回には野手の失策絡みで2点を失った。

 「このままじゃ申し訳ないし、情けない。大きいの(長打)を狙った」。3年生の意地の一打が、山梨学院に傾いていた流れを引き戻した。

 勝ち上がりの原動力は左腕・末吉と2年生右腕・新垣有絃の二枚看板だ。レギュラー全員が3年生の野手は、この試合前まで計1失策の堅守でもりたて、小差で勝ってきた。

 それが、この日はらしくないプレーが続いた。五回終了後、比嘉公也監督に「エラーで点を取られて、お前らはこれで最後を迎えるのか」と鼓舞された。その言葉も、最上級生たちの心に火を付けた。

 六回の同点劇に続き、七回は2死からの宜野座の三塁打を足場に、比嘉大登が決勝の右前適時打を放った。準々決勝まで1試合平均2・75得点だった打線が、3点差をひっくり返した。

 「ずっと2年生投手に助けられてばっかり。ここで3年生が中心になれてよかった」と比嘉。投手と野手が支え合い、一丸となって頂点に挑む。

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