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女子高校生や女性がクマの被害に遭った交差点。湊屋啓二さんの工場や店舗兼自宅は交差点の反対側(右端と右から2軒目)にある=秋田県北秋田市、ASA鷹巣・虻川護所長提供
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 昨年度は全国でクマによる人身被害の件数が過去最多となり、なかでも秋田、岩手両県を中心に東北地方が突出していた。被害に遭った人は、どんな思いを抱いているのか。昨年度の状況を踏まえ、どのような対策が取られているのか。

 秋田県で昨年度クマの被害に遭ったのは70人。北秋田市では昨年10月19日、通学中の高校生を含む5人が市中心部で相次いでクマに襲われ、大きなニュースになった。

 被害者の一人、湊屋啓二さん(67)は、秋田名物「バター餅」で有名な菓子店を営む。その店舗兼自宅や工場がある敷地内で被害に遭った。

 その日の午前7時ごろ、工場で餅を切っていた湊屋さんは、道路の反対側にいたクマが女性をめがけて駆け寄ってくるのを見た。直後に悲鳴が聞こえた。

 女性は高校生で、通学のためバス停にいたところをクマに追いかけられ、湊屋さんの敷地内に逃げ込んだところで襲われ、腕をかまれるなどしてけがをしていた。

 店舗兼自宅近くの交差点ではもう一人、80代の女性もクマに襲われて、うずくまっていた。

 救急や警察が駆けつけ、騒然となるなか、工場に戻ると、湊屋さんの娘が「自宅の裏庭にクマが見えた」と話した。

 しかし、湊屋さんはクマを見…

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