満蒙開拓青少年義勇軍の実態を描いた漫画が、水戸市の内原郷土史義勇軍資料館で9月23日まで展示されている。作者の元隊員が描けなかった終戦前後の悲惨な記憶は、息子が聞き取った証言をもとに館長がパネルで展示。戦後生まれの手で、歴史を刻んだ。(鹿野幹男)
作者の細井芳男さん(故人)は愛知県安城市出身。1939年に内原の訓練所に入り、15歳で旧満州へ渡った。45年8月9日のソ連軍侵攻に伴い徴兵。シベリアに抑留され、49年に帰還した。
漫画は約160ページあり、訓練所での生活を描いた「内原版」と、主に満州へ渡って以降の様子を描く「満洲版」からなる。帰国後、細井さんが描いたものだ。
教員に入隊を勧められる場面は「希望」、軍人に殴られる場面は「管理」。一コマ一コマに簡潔なタイトルが付けられ、細井さんが脳裏に刻んだ光景や心情が凝縮して表現されている。
満州での6年間のうち前半の3年間では、凍傷や伝染病、軍事訓練など厳しい現実に直面しつつ、仲間と畑で和むような笑顔を浮かべる場面も描かれる。開拓団に移行した後半3年間は仲間の結婚や耕作、しょうゆの醸造、一時帰国の様子も表現され、安定した暮らしぶりがうかがえる。
証言者が世を去っても
しかし、その生活はソ連軍の…