若い世代の心の健康(メンタルヘルス)が年々悪化を続け、危機的状態にあると世界的に懸念されている。とりわけ深刻といわれるのが女性だ。
神奈川県に住む女子中学生(13)は1年生だった昨年夏、自分の体を傷つけるようになった。
両脚の太ももから足首までを、思いきりかきむしった。脚の傷がかさぶたになると、わざとはがし、また傷をつくった。
自身の髪の毛をつかんで強くひっぱり、抜くこともあった。そうしながら言った。「学校に行きたくない」
クラスの女子生徒から無視されたり、通っている塾で男子生徒から体形についてからかわれたりすることが重なり、孤立感を深めていた。
繰り返し、外見からかった男子
遠因があった。小学生のとき、上級生の男子の集団に繰り返し外見をからかわれた。それが心の傷として残った。中学でも嫌がらせを受け、人と接することが苦手になった。
自分をからかい、無視してきた人間を恨んだ。「あいつらのせいで、わたしはこんな性格になってしまった」
精神科のクリニックに通い、しばらくすると、自傷行為の症状は落ち着いた。現在は学校には毎日行き、クラスとは別に設けられた「学習室」という場所で勉強している。
でもまだ、教室には入れない。クラスメートと顔を合わせるのがいまも怖い。
うつ病や不安症といった精神疾患の発症は、世界的に15歳ごろピークを迎え、63~75%は25歳までに起こるとも指摘されている。
増加する絶望感、不安、うつ
医学誌ランセットの精神医学関連誌は昨年9月、若者のメンタルヘルスが世界的に悪化しているとする、精神科医ら54人による報告を掲載した。
米国で、過去1年間に「持続的な悲しみや絶望感」を経験した高校生は、2009年の段階では男性19.1%、女性33.9%だった。それが、23年には男性28%、女性53%にまで高まった。
豪州で16~24歳を対象に…