米大統領選の終盤、トランプ前大統領のニューヨークでの集会で飛び出した発言が議論を巻き起こしました。登壇したコメディアンがカリブ海に浮かぶ米自治領プエルトリコを「ごみの島」と揶揄(やゆ)し、プエルトリコにルーツを持つ人々が猛反発する事態になったのです。米国社会でよく耳にするプエルトリコとはどういう存在なのか。米国とプエルトリコの関係に詳しい琉球大学の阿部小涼教授に聞きました。
- プエルトリコは「ごみの島」 トランプ氏集会の登壇者発言に波紋
――プエルトリコはどのようにして米国の一部となったのですか。
契機は1898年の「米西戦争」でした。米西戦争はスペインに対する植民地の独立戦争で、その中心がキューバであり、フィリピンであり、そしてプエルトリコでした。この戦争に介入した米国との講和条約に基づき、プエルトリコは米国領になります。
島より米国本土に人口多く
――米国本土にプエルトリコの人たちが渡っていったのはそのころからですか。
そのころが労働者としての移民の端緒です。1917年にプエルトリコ住民に米国市民権が付与され、米国旅券も与えられて往来がしやすくなると、渡米する人が増えていきました。米国側には、第1次世界大戦の兵力として、徴兵対象にプエルトリコの人々を含める狙いもありました。
最初の拠点となったのは当時…