毎年のように安定して特AやA評価を受けるようになった九州産や山口産の米。食のプロはどのように炊き、料理に合わせているのだろうか。
一升炊きの羽釜をかまどに置き、細い薪、スギの葉、松ぼっくりを入れ、そこに太い薪を重ね、マッチに火を付けた。火が燃え移ると、メラメラと炎が立ち上がった。羽釜には10度以下の水に浸した米。「まずは大量に火を起こし、複雑な火の揺らぎをつくります。羽釜の中で米を対流させるためです。米の粒立ちがよく、うまみが濃くなります」。
そう語るのは、鹿児島県薩摩川内市の「原田米店」3代目の原田匠さん(46)。経営する「ライススタイルショップハラダ」のランチで提供するごはんを羽釜で炊く。
竹筒で空気を送り込むと、薪の水分が抜け、パチパチと音を立てる。重さ2キロの石で押さえるふたが持ち上がるほど沸騰し、蒸気が出てきた。10分ほど経過。ふたをあけると、チリチリと音が聞こえてきた。「水分がなくなった合図です」と原田さん。水っぽい匂いから、米のでんぷんに火が通ったことを知らせる甘い香りに変わる。羽釜の底に火が当たらないように、薪を徐々に平らにしていった。20分ほど過ぎ、羽釜をかまどから離した。湯気を立てた、つやつやした米が現れた。
原田さんは五ツ星お米マイスターであり、お米ソムリエ米食味鑑定士、炊飯コンサルタントの肩書を持つ。
米の食味分析鑑定コンクール国際大会の審査員を務めたことがあり、10年ほど前の審査では、迷わず新潟産米に高評価をつけた。「糖度の濃さを主張するように白濁し、粒感が違った」
その後、新潟や東北の米に肩を並べるように、九州産の米が日本穀物検定協会の試験で特AやAの評価を受け、ニュースになる。原田さんは「高温に強い品種改良に取り組み、安定的な米の産地となった」と話す。
鯛茶漬け、卵かけごはん、おにぎり…うまさ引き出すコツも聞いた
後段では、各県ブランド米の特徴をお米マイスターに聞きました
1821年創業「福萬醤油」の7代目で醤油ソムリエの大浜大地さん(43)が福岡市中央区天神3丁目で経営する店のランチは、鯛茶漬けと卵かけごはん。「夢つくしや大分県玖珠産ひとめぼれ、熊本県人吉産ひのひかりを使います」と語る大浜さんによると、醤油との相性がいいそうだ。
鯛茶漬けは、海鮮の街、福岡…