父のチラシの前で取材に応じる江東愛子さん=2024年9月5日午後3時19分、長崎市、坂本純也撮影

 「どこかで必ず生きていると思っています」

 長崎市の江東愛子さん(46)が、行方不明になった父を捜し始めて、もうすぐ1年半になる。この間、少しでも手がかりがあれば県外にも出向き、懸命に捜索を続けてきた。

 父・坂本秀夫さん(74)は長年、ホテルや洋食店で腕をふるった料理人だった。2012年、62歳の時にアルツハイマー型認知症と診断された。症状は比較的軽く、進行も緩やかだったため、その後も投薬治療を続けながら6年ほど厨房(ちゅうぼう)に立った。時折、記憶があいまいなことはあったが、身の回りのことはほとんど自身でこなせ、名前や住所も忘れることなく、買い物や床屋に行くこともできた。

長崎市の自宅を出て行方が分からなくなった坂本秀夫さん(右から2人目)。妻悦子さん(右)、長女の江東愛子さん(左から2人目)らと並んで撮影した写真=2018年11月30日、家族提供

 突然姿を消したのは、2023年4月16日。73歳になっていた。午後4時ごろ、長崎市の自宅から日課の散歩に出かけたまま戻らなかった。

 行方不明になる直前まで母・…

共有
Exit mobile version