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JR秋田駅の改札口前で、秋田新幹線の運転再開を待つ人たち=2024年12月30日午前10時17分、秋田市、滝沢隆史撮影

 帰省のピークを迎えた年末、停電の影響で秋田新幹線が運休し、帰省客らの足を直撃した。29日夜から秋田―盛岡間の上下線で運転を見合わせ、再開は30日午前10時半過ぎ。乗客約230人が新幹線車内で一夜を明かすなど、新幹線16本が運休(区間運休を含む)し、約3650人に影響が出た。

 JR東日本などによると、「こまち43号」(秋田行き)は29日午後10時半すぎに鶯野駅(大仙市)にさしかかったところで停車。暖房が使えない状態になり、乗客約260人がJRが手配したタクシーで大曲駅などに移動した。

 乗っていた20代の女性は「新幹線が止まる駅じゃないのになと思ったら、電気が消えた」。大曲駅からは臨時列車に乗り継ぎ、秋田駅に到着したのは30日午前4時すぎ。「家族連れの人たちは大変そうでした」と振り返った。

 後続の「こまち45号」(秋田行き)は、29日深夜から田沢湖駅(仙北市)に停車し、乗客約230人が列車内で一夜を明かした。

 秋田市に帰省するため乗車していた東京の男性会社員(25)によると、「停電の影響で運転再開のめどが立たない」とアナウンスがあり、乗客に栄養補助食品や水、防寒用のアルミシートが配られたという。男性は30日朝の代行バスに乗り、午前10時ごろに秋田駅にたどり着いた。「車内は停電の影響がなく、暖房も利いていて明かりもついていた。満員だったが、(乗客は)みな落ち着いていた。あまり眠れず、とにかく疲れました」

 帰省でこまち45号に乗っていた東京の男子大学生を秋田駅に迎えに来たおじの男性(53)は「無事に着いて良かった。あまり眠れていないと思うので、ゆっくり休んで一緒に正月を迎えたい」と話していた。

 JR秋田駅では30日朝、大きな荷物を持った人たちが、新幹線の運休を知らせるボードを不安そうに見つめていた。改札口で対応した駅員によると、運転再開が見込まれる時間帯の新幹線に変更するため、午前7時ごろには窓口に50人ほどが並んだという。

 午前9時すぎの新幹線で福島県白河市に帰省する予定だった秋田大1年の男子学生(19)は、「10時台の新幹線の最後の1席を確保でき、なんとか帰れそうです」とほっとした様子だった。

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