子どもの重症患者を、医療機器を備えたジェット機で搬送する「ドクタージェット」の試験運航が12日にあり、大阪(伊丹)空港に初めて着陸した。専門的な治療を必要とする6歳未満の男児が、山口県から関西の病院に搬送された。
NPO法人「日本重症患者ジェット機搬送ネットワーク(JCCN)」が中日本航空(愛知県)や医療機関と連携し、4月から試験運航を進めている。
今回が8例目で、山口宇部空港から伊丹空港までジェット機を使った。長距離搬送の経験がある兵庫県立こども病院の医師と看護師のほか、男児の親が同乗した。
男児は「肺静脈閉塞(へいそく)」の疑いで今後、搬送先の病院で手術などの治療方針が決められる見込みという。
JCCNによると、9日には7例目として、島根県の病院から兵庫県立こども病院まで、人工呼吸器をつけた0歳の男児を搬送した。
小児集中治療室(PICU)がある医療機関は大都市周辺に集中している。ドクタージェットの場合、ドクターヘリでは難しい都道府県境をまたぐ長距離の搬送や、重い医療機器を装着したり、高度な治療を続けたりしながらの搬送もできるという。
JCCNの福嶌教偉(ふくしまのりひで)理事長は「どこに住んでいても、平等に子どもたちは助からないといけない」と話す。
これまでに、クラウドファンディングで資金を集め、国に予算化も求めてきたという。ウェブサイト(https://www.npo-jccn.website)では引き続き寄付を募集している。(鈴木智之)