ガソリンスタンドの電光掲示板。軽油取引でカルテルの疑いが浮上した=2025年5月26日午後7時9分、東京都内、角野貴之撮影

 軽油販売を巡る価格カルテルの疑いで、石油販売会社6社が公正取引委員会の立ち入り検査を受けた。価格高騰の中での疑いに、軽油でトラックを走らせる運送業者からは嘆きの声が漏れる。消費者の生活に影響する懸念もある。

  • 軽油取引でカルテルの疑い、石油販売6社に立ち入り 価格高騰の中

 今回、価格カルテルが結ばれていた疑いがある軽油は、神奈川県内に事業所がある運送業者や建設会社に販売されていたものだ。

 「怒り心頭だ」。トラック約70台を運用している横浜市瀬谷区の運送業者はそう話す。

「利益にもろ直撃」

 取引先の中には、軽油価格が上昇した分を運送料に反映する「燃料サーチャージ」に応じてくれている会社もあるが、それだけでは価格高騰分を補えないという。カルテルによって価格がつり上げられていれば、「利益にもろに直撃する」と担当者は言う。

 担当者は、カルテルのうわさは聞いたことはなかったとしつつ、「どこの石油販売会社の軽油も似た価格だなとは思っていた」と話した。

 川崎市の運送業者は、運転手の人手不足もある中でのカルテル疑いに、「(軽油の価格上昇で)末端の運送業者はかなり苦しむ。それを理解してくれていないのは残念だ」とこぼした。

神奈川以外でも…?

 公取委は、今回のカルテル容疑に似たやりとりが神奈川以外でもあるとみている。

 埼玉県川口市の運送会社「トランプ」も、燃料費高騰に悩まされている。軽油を燃料とする4トントラックやバン計約10台を運用している。東京都内の物流倉庫で荷物を積み、埼玉県内の拠点まで運ぶトラックの場合、1日の走行距離は約200キロ。平均すると2日に1回は給油が必要になり、1回あたり1万円ほどかかる。

 年単位で結ばれる配送契約の運賃は固定され、燃料費の上昇分を転嫁することは難しい。矢作和徳社長(42)は「燃料代が値上がりするほど、利益が減少していくだけだ」と話す。カルテル容疑について「一部の会社が利益を独占したり、市場をコントロールしたりするのはよくない。もし本当だとすれば、是正されるべきだ」と憤る。

「国の支援のあり方に厳しい目」

 資源エネルギー庁によると…

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