どこよりも鮮度の良い魚を届けたい! 「圧倒的鮮度」を売りに、大阪で魚の養殖に取り組む会社があります。それも、海ではなく、陸上のいけすで。魚を管理しやすく、大消費地の近くで養殖することで、運送費を抑えられる利点があります。
カンサイのカイシャ ここがオモロイ!
大阪府の最南端に位置し、大阪湾に面した岬町。海沿いの陸上に直径10メートル、高さ2メートルのいけすが並ぶ。泳いでいるのは、高級魚のトラフグ。ここは「陸水」(堺市)の養殖場だ。
病気を防ぐため水を殺菌し、エサにはユズ粉末を混ぜた配合飼料をつかっている。「うちのフグは、雑味がなくクリアな味。雑炊にしてもあくがでない」と、社長の奈須悠記さん(32)が胸を張る。
奈須さんは高校生の頃、「近大マグロ」のことを知って養殖に興味を持ち、近畿大学に進学。マグロの養殖を学んだ。卒業後は大手水産会社に就職し、マグロ養殖などに携わった。
描いていた夢を実現したが、一方で、天候や環境の変化などに左右される海面養殖の将来性への不安も感じたという。持続可能な養殖のかたちとは何か。コロナ禍のころで、いろいろ考える時期でもあった。
その結果、魚の管理がしやすく、比較的小規模からでも始められる陸上養殖に着目。大学時代にマグロの稚魚の陸上養殖を経験し、基礎知識があったことも後押しとなり、2021年に起業した。
陸上養殖は天候に左右されず…