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5月下旬の田植えに向けた準備をほぼ終え、生き物を観察する「野川自然の会」の会員ら=2024年5月4日、東京都小金井市の都立武蔵野公園
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 5月初めの休日、東京都小金井市内を流れる野川の両岸に広がる都立武蔵野公園に、お年寄りから幼児まで約15人が集まった。「野川自然の会」の会員たちだ。

 園内にある広さ約3アールの通称「とんぼたんぼ」の田植え準備のため、草刈りをしたり苗代の世話をしたり。水を張った田ではメダカが泳ぎ、トンボが飛び交う。「このあたりは、いまはすっかり住宅街だが、1960年代ごろまでは田んぼと桑畑だった」。会長の鈴木寛さん(73)がおしえてくれた。

■多摩の水物語

人々の喉をうるおし、緑をはぐくむ水。その豊かさの恩恵を受け、間近に自然を感じられるエリアが東京にはある。多摩における水事情の今昔をお伝えします。

 ただ、宅地開発が進んだことによる生活雑排水で、野川は80年代前半ごろまで黒くて臭い「どぶ川」と化す。その後、下水道の整備が追いつき、再び清流が戻ってきた。

 野川の北側、長さ800メートル、幅50メートルほどの河川敷は、大雨による川の増水に備えた調整池になっていて、ふだんは平らな原っぱだ。周辺にはイトトンボやアメンボ、ゲンゴロウ、ヒキガエルなどが生息し、湿地の一部では準絶滅危惧種のミゾコウジュも育っている。農薬や化学肥料は使われておらず、都の調査では、植物と昆虫、魚類の種類が以前に比べて400近く増えたという。

 田んぼ復活のきっかけはドジョウだった。

■「対立の時代から対話の時代…

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