サイバー攻撃を未然に防ぐ「能動的サイバー防御」(ACD)を導入する法案の国会審議では、憲法が保障する「通信の秘密」との整合性などをめぐり、多くの懸念が浮かび上がっている。野党側には法案の必要性に理解を示す意見もあるが、攻撃元のサーバーへの侵入・無害化措置など政府の権限を大幅に強める内容のため、立憲民主党と日本維新の会は、国会の関与強化などを盛り込んだ修正案を検討している。
サイバー攻撃の大半は海外発とみられるため、法案では国内同士の「内内通信」は収集・分析の対象になっていない。ただ、立憲の山登志浩氏は26日の衆院内閣委員会で、政府が収集・分析する情報が拡大される懸念を示し、「内内通信」について「絶対に(収集・分析を)しないのか」と質問したところ、平将明サイバー安全保障担当相は「通信情報の利用を必要最小限にとどめるため(対象を)限定している」と答弁。そのうえで「将来的に分析対象が不十分となった場合は、その時点で改めて必要最小限の分析対象を検討する」と述べ、将来的な対象拡大は否定しなかった。
立憲の山氏は、「通信の秘密」を不当に侵害しないと法案に明記されていない点も問題視し、「全国民に波及する問題。明記するべきだ」と政府側に迫ったが、平氏は「必要やむを得ない限度の制約にとどまることを確保している。明記する必要はない」と譲らなかった。
実際に政府がどんな基準で情…