仮設の浮桟橋に試験的に接岸した定期船「希海」=2025年7月22日、石川県輪島市の輪島港、上田真由美撮影

 石川県輪島市の北、約50キロ沖に浮かぶ舳倉(へぐら)島と輪島港をつなぐ定期船が、7月30日に運航を再開する。昨年1月の能登半島地震の影響で運休して以来1年7カ月ぶりで、島に戻れなかった島民は、ようやく始まる本格的な復旧に期待を寄せている。

 22日、輪島港に定期船「希海(のぞみ)」(定員93人)が姿を見せた。岸壁は地震で約2メートル隆起しており、仮設の浮桟橋に接岸した。運航する「へぐら航路」の藤田健市専務(67)は「船を動かすことで、島の復旧を一歩ずつ前進させたい」と話す。

 希海は地震前、輪島港と舳倉島を毎日1往復、片道1時間半かけて運航。島民や島の近海でとれた海産物を運ぶ大切な生活の足だった。

 地震で海岸が隆起して水深が浅くなり、出入港が難しい状態になったが、浚渫(しゅんせつ)工事が完了。当面は週1往復、島民や復旧に携わる作業員を運ぶ予定にしている。

 舳倉島は周囲約5キロ。約30世帯が島と輪島港近くの輪島市海士町の両方に家を持ち、行き来して暮らしていた。「海女の島」とも呼ばれ、海女漁が解禁される7~9月には、多くの海女や漁師の拠点になっていた。

「やっぱり舳倉は…」

 そんな島を昨年1月、地震と津波が襲う。

 惨状を島民が直接目の当たり…

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