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宮下紘・中央大教授に聞く

 サイバー攻撃を未然に防ぐ「能動的サイバー防御(アクティブ・サイバー・ディフェンス、ACD)」を導入する法案の国会審議では、政府によるネット空間の監視が、個人のプライバシー侵害にあたるかが重要な論点の一つとなっている。米国の個人情報保護制度に詳しい中央大の宮下紘教授は、政府が集める通信情報について「はがきの表面」にたとえ、プライバシー侵害になる可能性を指摘します。

 ――ACD法制の議論をどうみますか。

 日本では2023年、一つのIPアドレス(ネット上の住所にあたる)に対して14秒に1度のペースでサイバー攻撃を受けている。本来であれば2013年の国家安全保障戦略でサイバーセキュリティーの強化に言及したころから議論しておくべきだった。政府の主張通り、法整備の必要性は認める意見が大半だろう。ただ、必要性があることと、法案の内容が相当かどうかは別の話だ。

「通信の秘密」侵害にはならないが

 ――政府はメールの中身など通信の本質的な内容ではなく、ネット上の住所にあたるIPアドレスや送受信日時などを収集すると説明しています。憲法が保障する「通信の秘密」との整合性は。

 はがきに例えると、表面にあ…

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