秋田在住のラッパー羅漢さん=本人提供

 体育館で子どもたちが体を揺らしながら、コールアンドレスポンス(掛け合い)を続ける。

 「ドッコイショウ! ドッコイショウ!」

 秋田県大仙市の大曲小学校で12月12日にあった150周年記念講演の舞台に上がったのは、秋田出身のラッパーの羅漢さん(37)。地元で活動を続ける人気者だ。

 ラジオのパーソナリティーを務め、J2ブラウブリッツ秋田の公式応援ソングを歌う。地元の有名なテレビCMの歌も手がけ、秋田の人なら誰でも聴いたことがある音楽の発信源になっている。

 1時間の講演のうち30分はヒップホップやラップの歴史などを語る。残り30分はミニライブで、秋田竿燈まつりのかけ声が入った曲のコールアンドレスポンスなどで、小学生と一緒に盛り上がった。高橋秀樹教頭は「あんなに子どもが喜んでくれるとは……」と驚いた。

「Bling-Bang-Bang-Born」で小学生まで

 「もう完全にCreepy Nutsの影響が大きいと思います。子どもたちにラップやヒップホップは溶け込んでいると思います」と羅漢さん。知らぬは大人だけのようだ。

 小中学校や成人式での講演活動は年20回以上を数える。「まじめにヒップホップの歴史を語ったりもしますけど、まあ自分のようなルールをはみ出して生きてきた人間でも、夢をもって頑張っていけば何とかなるよってことを伝えていますね」と笑う。

 ヒップホップの四大要素のうちの一つが、ラップだ。本格的にラップを始めたのは高校時代。秋田の大学を卒業後、2012年に「謎の自信」をもって東京へ向かう。ラップで、日本で天下を取るためだった。

 クラブやライブハウスで活動した。もちろんそれだけでは食っていけないから、フリーターをしながら。

折れた心を直した友人のひと言

 でも、チケットは売れず、なかなか思い描いたような成果が出せない。「心が折れてしまった」。18年、地元に戻った。ラップもやめようと思った。自分の曲を長年プロデュースしてくれた友人にその思いを話すと、こんな言葉が返ってきた。

 「やめるのは勝手にしてもら…

共有
Exit mobile version