江藤拓・農林水産相が18日に「コメは買ったことがない」などと発言したことをめぐり、農家や価格高騰にあえぐ消費者から憤りや反発の声が相次いだ。「身内」の自民党関係者からは今夏の参院選への影響を心配する声も漏れた。
- 江藤農水相「米買ったことない」「売るほどある」と発言 その後釈明
「ばかたれ。更迭やね。農家の痛みを分かっとらん」
佐賀県内の農地約5ヘクタールでコメをつくる60代の男性農家はそう憤った。
いま、田植えの準備中だ。苗が入った重い箱を何百個も運ぶ。指がしびれる。男性は「コメを献上されている感覚じゃなかろうか。朝から晩まで農家をしてみろと言いたい。爪の奥に泥を詰めて働けば、少しは苦労の分かるとじゃなかですか」とあきれていた。
江藤氏は宮崎県門川町出身。元建設相の故・隆美氏の秘書を経て、2003年に衆院選で初当選した。現在8期目。農水政務官、同副大臣を歴任し、19年に農水相で初入閣後、24年に再び同職で起用された。こうした経歴から、自他ともに認める「農政通」だが、地元のコメ農家、大神玄暉さん(54)=同県延岡市=も「農家の苦労も、消費者の暮らしも分かっていない、国民心理を逆なでする無神経なもの」と一連の発言を非難する。
昨年はコメが不作で、自宅では古米を節約しながら食べている。通販サイトでは規格外のくず米を「鶏のエサ」と明示して売るが、「それすら『食べられるか?』と質問が来る。ノーと言うが、それだけ困っている人がいる」と語った。
「偉い人は庶民の感覚がわからない」
東京・新橋のスーパー。無職…