日韓防衛相会談でのレーダー照射問題の再発防止策の合意をめぐり、自民党の安全保障調査会などは5日、政府側から説明を受けた。自民党側は日韓が合意した再発防止策について基本的に理解を示しつつ、レーダー照射の事実関係を事実上「棚上げ」したことに、一部議員から「韓国の政権が代わったら(合意を)ひっくり返される隙を与えた」との反発の声が出た。
再発防止策をめぐっては、木原稔防衛相と韓国の申源湜(シンウォンシク)国防相が1日、シンガポールでの会談で合意。日本側は2018年に石川県能登半島沖で韓国海軍駆逐艦が海上自衛隊P1哨戒機に火器管制レーダーを照射したと主張する一方、韓国側は照射自体を否定する中、事実認定を見送った。
自民の会合の冒頭、小野寺五典安保調査会長は「まずは再発防止が大事だということで両国でしっかり議論ができる環境になった」と日韓合意に理解を示しつつ、「この案件は決して忘れてはいけない。これからもしっかりと韓国側に求めていくことが必要だ」と指摘した。
出席者によると、中国や北朝鮮の軍事動向を牽制(けんせい)する意味合いで日韓合意に賛同する声があった一方、事実認定の事実上の棚上げへの異論も噴出。「うやむやにして進むのは、また韓国がうそをつくということの始まりになる」との声が出たという。
黄川田仁志国防部会長は会合後、記者団に「安全保障環境の厳しさをどう乗り切るかは非常に大切で、私は防衛相の決断は評価する」と述べたが、ある出席者は「韓国は『70対30で勝った』と思っているだろう。日本国民の理解も進んでいない」と語った。(里見稔)