「日本の歴史を伝える役者になりたい」。SNSにそう決意をつづった22歳の駆け出し俳優が8月、沖縄戦の悲劇を題材にしたミュージカル「ひめゆり」の舞台に立つ。
熊本市出身で今春上京した佐々木英美さん。初演から約30年受け継がれてきた劇団「ミュージカル座」(さいたま市)の代表作に挑み、オーディションで「民衆」の役をつかんだ。物語の中心となる「学徒」ではないが、戦争の悲惨さと命の尊さを伝えられる役だという。
1945(昭和20)年春、沖縄。かくれんぼではしゃぎ回る子どもが、近所の赤ちゃんに「いないいないばあ」。家族が目を細める。そんな日常を切り裂くように、赤紙(召集令状)が父親に届く――。
舞台の冒頭、佐々木さんは民衆の子役として、沖縄の人たちが戦争に巻き込まれていく混乱ぶりを表現豊かに演じる。
沖縄戦の悲劇表す民衆、「陰の主役」
この役には「きび子」という…