沖縄本島の南端、糸満市にある「ひめゆり平和祈念資料館」。沖縄戦に動員され、多くの女子学生が亡くなったひめゆり学徒隊の悲劇を伝える場所である。
ここで9日から12日にかけて、資料館や献花販売店などの外壁を塗り替える作業が行われた。作業を担ったのは全国から集まったボランティアのペンキ屋たちだ。
資料館の館長、普天間朝佳さん(65)は昨年、思いを巡らせていた。
来年は戦後80年。生き残ることができた元学徒の多くが逝ってしまった。でも、彼女たちの証言は映像にある。思いを感じ、戦場を追体験できるように、展示物もリニューアルしてきた。
そして、私たち戦後生まれの館員たちが、元学徒たちの思いを語り継いでいる。
でも……。
資料館の外壁はくすみ、しみができ、汚れている。1989年の開館からそのままにしている場所もある。壁を塗り替え、気持ちよく来館してほしいが、資金的に余裕がない。
資料館は元学徒らが設立し、民間の公益財団法人として運営してきた。来館者が激減したコロナ禍を乗り越えたばかりだ。
そんな24年11月、ひとり…