2025年春夏シーズンの新作を発表するパリ・メンズファッションウィークが、6月18日から23日にかけて開かれた。アート性が感じられる服が多く、混迷が続く世界で、明るい色や団結を促すメッセージによって希望の光を見いだそうとするブランドが印象に残った。
手仕事の尊さをたたえ、アートとファッションを融合させる。今季、そんなトレンドが目をひいた。
磨きがかかったロエベ ディオールは陶芸をアイデア源に
洗練に磨きがかかっていたのはロエベだ。写真や彫刻が点在した会場で、そぎ落とされたデザインと、高度な技巧とのバランスが見事だった。ジョナサン・アンダーソンが「精度を追求した」という今作は、鳥の羽根を垂らしたヘッドピースと細身のブラックスーツで始まったように縦長のシルエットが際立つ。
素材や質感も多彩。羽根やマザーオブパールを全面に配したトップスなど芸術品のような服と、ひとひねりある日常着を織り交ぜた。丈の短いポロシャツとチノパンツの組み合わせはシンプルながら、上下がベルトでつながっているようなスタイリングで、ユーモアが光っていた。
キム・ジョーンズによるディ…