大学に入学して3週間たっても、友達はできなかった。
北海道江別市に住む大学1年の女子学生は、この春から一人暮らしを始めた。まだ料理にも慣れていない。部屋で一人、春雨スープと卵かけご飯を食べる。授業に行っても、一緒に座る友達はいない。
「ぼっちなんです」
ある日、授業終わりに何げなく歩いていると、構内の一角に人だかりができていた。おそるおそる近づく。円になって座る学生の真ん中にいたのは、大きな犬だった。
学生たちは犬をなで、写真を撮り、たわいもない会話を交わし、立ち去っていく。
女子学生は、人の波が収まるのをじっと待った。そして、柔らかなクリーム色の背中に手を伸ばした。久しぶりに自分が笑顔になったのがわかった。
人と話すのは苦手だ。相手の目を見て話せない。でも、犬をなでながらであれば、自然に言葉が口から出る。
「まだ友達が一人もできなく…
