大阪・関西万博が13日、大阪市此花区の人工島・夢洲(ゆめしま)で開幕する。開催に向けて準備に携わってきた吉村洋文大阪府知事は、開幕を前に報道各社のインタビューに応じ、準備の遅れで「本当に開幕できるのか」と思う時期があったと振り返った。
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――どんな万博を実現させたいか
2015年に検討を始め、18年に大阪への誘致が決定した。158の国と地域が参加し、日本の万博史上で最も多くの国が参加する。
今回は「国威発揚型」ではなく、「社会課題解決型」の万博だ。紹介される技術や価値観が実装する社会となり、よりよい社会課題解決型の未来が築いていけるかどうかが最も重要だ。さまざまな価値観や技術に触れ、将来は科学者や技術者になろうという子どもたちが1人でも増えればいい。
今思う「ターニングポイント」
――開幕に向けた準備で最も大変だった時期は
23年春ごろ、海外パビリオンの建設がこのままだと間に合わない可能性があると聞いて真剣に「これはまずい」と思った。当時の岸田(文雄)首相に直談判し、万博担当大臣にも直接話をし、危機意識を共有した。
コロナ禍で前回のドバイ万博が1年延期され、元々準備期間が短い上に人手不足や資材の高騰、そして海外パビリオンが非常に個性的でなかなか作り手が見つからないといった要素が重なって、本当に開幕できるのかと感じた。あのころは結構しんどかった。
もし気づくのが半年ずれていたらと思うと、ぞっとする。間に合わなかったら責任問題で、しかも失敗に終わる。参加国がドミノ式に断念するという事態が起きることもあり得た。振り返ると、あのときが一つのターニングポイントだった。
評価は少し時間経てから
――万博の「成功」とは
万博は約2.9兆円の経済効果があり、予定通り開催されればそれだけで十分にコストを乗り越えるだけの大きな効果がある。
黒字にもしなければならない。1400万枚という前売り券の販売目標には達しないが、それでも合計1千万枚は超えている。開幕すればより多くの人に万博の中身が伝わり、行きたいと思われる方が増え、損益分岐点の1800万枚はクリアできると思っている。
ただ、大事なのは、振り返ってみればあの25年万博で新しい技術が生まれて、日本の暮らしや生活、世界に対する影響も大きく変わったな、と言われるかどうかが、重要なポイントだ。その答えがすぐに出るわけではなく、評価は少し時間が経って振り返ってみることなんだろう。