日本銀行が16日に公表した2014年1~6月の金融政策決定会合の議事録から浮かび上がるのは、日銀の執行部が「2年で物価上昇率2%」の実現に自信を深める一方で、政策を正常に戻すための道筋である「出口論」には口をつぐんだことだ。その姿勢は10年後のいま、「負の遺産」として重くのしかかっている。
- 「想定を上回る反動起きていない」 消費増税直後 楽観に染まる日銀
黒田東彦(はるひこ)総裁(当時、以下同)の下で始まった「異次元」緩和から1年が経っていた。14年4月30日の決定会合で、半年に1度見直す「経済・物価情勢の展望」(展望リポート)が議論された。
日銀が描くシナリオでは、消費者物価指数(増税の影響と生鮮食品を除く)の前年比上昇率は、14年度の終わりから15年度にかけ、目標の2%に達するとしていた。この日の決定会合で、その先、16年度の見通しが初めて示された。2.1%だった。
目標達成後も2%を超えると予測しており、日銀出身の中曽宏副総裁は「一部では『出口』に関する思惑が出てくる可能性がある」と言及。だが「現時点で出口論に踏み込むべきではないということは、これまでと変わりはない」とした。
出口に言及した途端、市場の期待が
大規模緩和の開始後、日銀執…