Smiley face
  • 写真・図版

 (23日、第106回全国高校野球選手権大会決勝 京都国際2ー1関東第一=延長十回タイブレーク)

 「みんなが助けてくれて、決勝のマウンドに立てた。恩返しのつもりで投げた」。9回104球で無失点だった京都国際のエース左腕中崎琉生(るい)は試合後、心の内を明かした。

 21日の準決勝。チームは、今春の選抜大会1回戦でサヨナラ負けした青森山田と対戦した。雪辱を期した登板だったが、4回2失点とリードを許して降板。「高校野球が終わってしまう」と、最悪の結果が頭をよぎった。

 しかし、五回から登板した2年生西村一毅が無失点でしのぎ、打線は六回に3点を挙げて逆転してくれた。西村には、宿舎に戻ると声をかけた。「ありがとう! 決勝は俺がいく」。監督からは、決戦前夜に先発登板を告げられた。意気に感じた。

 準決勝の反省は、「力んで体の開きが早くなった」。だからこの日は、「楽しんで投げることを意識した」。体重の乗った速球が、右打者の内角にびしびし決まる。序盤は球威で押した。

 六回以降は、毎回得点圏に走者を背負った。それでも変化球を低めに集め、本塁を踏ませない。九回2死満塁は得意のスライダーで右飛に打ち取り、雄たけびを上げた。

 選抜では、エースながら主将も務めていた。当時は、自分がチームを勝たせようと気負い過ぎていた。選抜後に主将を交代すると、周りが見えるようになった。「自分以外にも、こんなにチームを考えてくれている人がいる」

 だから、十回の打席で代打を送られても「すんなり受け入れられた」。優勝し、仲間を誇った。「チームで束になって戦った結果です」(安藤仙一朗)

共有