「みんなで演奏することって、できるでしょうか?」
稚内高校3年の吹奏楽部の佐野純玲(すみれ)さん(17)は昨年10月、稚内地区吹奏楽連盟の杉谷賢俊理事長に、思い切って提案した。
吹奏楽人口が減少するなか、同じ地域で学校や年代を問わずに演奏できる場がほしい――。
「吹奏楽は断然、多くの人数でやる方が楽しい。小編成では味わえない、大編成の楽しさを、みんなで経験したい」。そんな思いからの提案だった。
自校にとどまらず、同じ地域の仲間が集結すれば、大きな演奏会ができる。「音楽で地域を盛り上げたい」。吹奏楽を始めた中学時代からずっと温めてきた思いだった。
中学時代はコロナ禍全盛期。コンクールや演奏会がなくなり、仲間も減った。高校に進学すると収束に向かったが、コロナ禍前には倍以上いた部員は戻らない。1年時の吹奏楽部員は20人。吹奏楽未経験者の新入生にも積極的に声をかけて部員確保に力を入れている。
企業主催のイベントなどで演奏する機会も減ったまま。「吹奏楽を知らない子どもが増えていくと、吹奏楽人口がどんどん減り、吹奏楽の灯が地域からなくなってしまう」。佐野さんの危機感は募っていた。
提案当時は、高校2年生。提…