Smiley face
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アイマスクをつけた状態で、後ろの人のアドバイスを頼りにして、前方に置かれたボールを取りに行く参加者=2025年4月24日、大阪市北区、金子智彦撮影
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 目隠しをした状態でプレーするブラインドサッカーの国際大会が5月18~25日、JR大阪駅前のグランフロント大阪「うめきた広場」で開催される。パラリンピックの実施競技でもあるブラインドサッカーだが、最近は視覚に頼れない競技特性を生かし、コミュニケーション能力向上や組織作り(チームビルディング)をねらったプログラムにも活用されている。

 ブラインドサッカーは、アイマスクを装着した4人のフィールドプレーヤー(FP)と目の見えるGKで行う5人制サッカー。FPは転がると音が出るボールやゴールの後ろにいるガイド(コーラー)の声などを頼りにプレーする。

 国際大会の開催を控えた4月下旬、大阪市内でブラインドサッカーの体験会があった。アイマスクをつけた人が拍手の音がする方向に歩いたり、助言に従って約3メートル先のコーンにボールを蹴ったり。「怖かった」「力んだ」。10人の参加者は、声や音をたよりに方角と距離感をはかる難しさを体感した。

 この体験会「OFF T!ME(オフタイム)」は、日本ブラインドサッカー協会(JBFA)が開催している。競技の理解や普及はもちろん、意思疎通の難しさや相手を理解することの楽しさを知ってもらうことも目的とする。

 人は情報の8割を視覚から得ているとされる。視覚に頼れない場合は、必然的に声での意思疎通になる。この日、講師役を務めた東京パラリンピック日本代表の寺西一さん(34)は「『もうちょっと、右』と言っても、人によって『ちょっと』の感覚は違う。数字をあげて指示するなど言葉のチョイスがすごく大事になる。競技でも『寄せろ』『当たれ』『詰めろ』でやることは違う。イメージを共有することが大事になる」と話した。

 体験会で、血液型ごとのグループに分かれるときがあった。参加者のなかには、声をあげて集団をつくろうとする人がいれば様子見の人もいて、行動に違いが出た。

 参加した加藤楓さん(26)は「名前を呼ぶなど具体的にしゃべることが大事だと思った」。大川恭平さん(36)は「一人ひとり個性が異なると実感した。各人の特長をあわせたチームづくりが重要になる」と話した。

 協会によると、「OFF T!ME(オフタイム)」は2014年2月から始め、24年3月までに371回、のべ5135人が参加した。企業の人事担当や行政関係者が着目し、研修に体験会のプログラムを導入した例もある。小・中・高校生が対象の体験型教育プログラム「スポ育」では、10年9月~25年3月で5576件、のべ21万6678人が体験した。

 JBFAでは、今後も競技の普及とコミュニケーションを学ぶ場として、体験会を開催していく。担当者は「『視覚障害者と健常者が当たり前に混ざり合う社会』を体感してほしい」と話す。

5月18~25日、グランフロント大阪「うめきた広場」で国際大会

 ブラインドサッカーの国際大会「ダイセル ブラインドサッカーウィーク in うめきた」が5月18~25日、JR大阪駅前のグランフロント大阪「うめきた広場」で開催される。B1クラス(全盲)の男女4カ国ずつが参加。同じ場所で昨年7月に行われた男子の大会では日本代表4試合を約5千人が観戦した。日本の世界ランクは男子が3位、女子が1位(今年1月時点)。観戦無料。

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