「死後離婚」と呼ばれる手続きがある。
配偶者が亡くなった後、のこされた配偶者が、亡き夫や妻の血族との関係を終了させる「姻族関係終了届」を役所に出すことだ。亡くなってなお「離婚」を選択する理由とは? 当事者たちに取材した。
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「義理の親の介護が嫌ということではなく、亡き夫の妻、家族として生き続けることはしたくなかったんです」
数年前に「死後離婚」した大阪府在住の高原彩規子さん(67)はこう振り返る。
会社役員だった夫と1994年に結婚し、子どもを授かった。しかし夫の不倫が発覚し、08年から別居に。子どもの養育費を受け取りながら自身もパートで働いた。自立のメドをつけ、離婚調停を申し立てた。
だが、夫はのらりくらりと拒否した。
別居から3年半後、夫が自宅で倒れ、末期の食道がんと診断された。
夫を看取った高原さんは、遺品から一枚の記念写真をみつけ、死後離婚を決意します。義母の介護の悩みから死後離婚を選択した男性のケースも取材しました。
当時、高原さんの実母も膵臓…