「えっ。もう閉まっちゃったんですか……」
時刻は、午後9時半をすぎたところだった。
その日は5月22日の木曜日。大阪・関西万博の会場入り口に近い公式ストアの前で、会社員の中川いづみさん（41）が肩を落としていた。
大阪市此花区の人工島・夢洲で開かれている万博の開場時間は、午前9時から午後10時まで。ただ、パビリオンやレストラン、ショップなどは午後9時までに閉まる。来場者が会場から出るのに時間がかかるからだ。
大阪市内で働く中川さんはこの日、職場の友人4人と仕事が終わってから初めて万博を訪れた。会場に入ったのは、午後6時ごろ。公式ストアの前には、長い列ができていた。
「帰りにのぞいてみよう」。そう思っていたが、帰るころには閉店時間を過ぎていた。「夜の万博は思った以上に楽しめた」が、「もう少し遅くまでやって欲しいかな」とも思う。
万博に来る人は増えている。開幕1週目に約7万5千人だった1日平均来場者数は、7週目で13万人台まで増えた。
だが、そのために新たな問題が起きている。
この日、午後8時半ごろ。ラ…
