(1日、春季高校野球近畿地区大会決勝 東洋大姫路1―0智弁和歌山)
マウンドで跳びはねる相手チームを黙って眺めるしかなかった。
昨秋に続き、近畿大会の決勝に臨んだ智弁和歌山。相手は同じ東洋大姫路(兵庫)だった。
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この日の打線は9安打を放ったが、3併殺打と得点につながらず。三回に内野ゴロの間に失った1点が決勝点となった。昨春から3季連続で近畿2位に終わった。
試合後、中谷仁監督は「うちもチャンスはあった。0―1のゲームは監督が悪いと思う。また勉強します」。
2カ月前に行われた選抜大会の決勝では横浜(神奈川)に4―11で敗れて準優勝だった。それから、中谷監督は「窮地を救う選手」の台頭を求めていた。
「5―0で勝ってたら、みんな打つんですよ。でも0―1で負けていると、1本が出ない。ポテンヒットでもなんでも、と。横浜高校の阿部(葉太、3年)くんには、そういうところで打たれた」
監督が言及したのは、選抜決勝の1―1で迎えた三回だ。
2死二、三塁で、横浜の阿部は2ストライクに追い込まれながら勝ち越しの2点適時二塁打を放ち、試合の流れを一気にたぐり寄せた。「優勝」を手にするには、大事な場面で力を発揮する存在が欠かせない。
この日2安打の4番・福元聖矢(3年)は九回の先頭で見逃し三振に倒れた。「投手陣は試合を作ってくれるけど、野手がカバーできてないという課題が出た」と悔しさをあらわにした。
準優勝が続いていることについて、「良い結果が出てるのか、悪い結果が出てると捉えるのかは、夏の結果次第だと思う。自分が先頭に立ってやっていかないと厳しい夏になる」。
中谷監督も危機感を隠さない。
「何かが足りない。結果で突きつけられてる」
夏に向けては技術練習、筋力強化に重きを置くという。選手全員の気持ちを代弁するように、こう言った。
「もう2位は嫌なんで。また1位になれるように頑張ります」
2021年以来となる全国制覇への試行錯誤が続く。