三重―津田学園 七回表、三重・福田の適時打で二塁走者・伊豆原が本塁へ生還=2025年5月28日、ダイム伊勢、辻健治撮影

(28日、第72回春季東海地区高校野球大会決勝 三重7―4津田学園)

 同点の七回、2死二塁で三重の芝山博翔(はくと)一塁手(3年)に打席が回ってきた。相手投手には前の打席、沈む球で打ち取られている。「また来るぞ」と同じ球を待っていたが、来たのは内角への速いスライダー。とっさに反応し、いい当たりではなかったが、打球は右翼へ転がった。二塁走者が生還し、この大会の9打数目でやっと出た初安打が、貴重な勝ち越し適時打になった。

 左の強打者だ。津田学園に敗れた春の県大会決勝で4番に座ったが、相手エースの左腕・桑山晄太朗(こうたろう)投手(3年)に3打数無安打に抑えられた。東海大会でも調子が上がらず、これまでの2試合で5打数無安打。左投手には体が早く開いて打ち損なうくせがあり、相手が左投手になると代えられることもあった。

 津田学園へのリベンジを誓ったこの試合、桑山投手は登板しなかったが、五回まで右投手に3打席とも凡退した上、六回の守りでは内野ゴロを失策した。「シュンとして声が出ていない」と、沖田展男監督に活を入れられて臨んだ打席での勝ち越し打だった。「やっと4番の役目を果たせた。結果が出なくても励ましてくれた仲間に感謝したい」

 春季東海大会での三重の優勝は、夏の甲子園で準優勝した2014年以来。この夏への勢いはついたが、チームは手放しでは喜んでいない。芝山選手は「まだ桑山投手へのリベンジは果たしていない。まずは、左投手への対応を克服したい」と真顔に戻った。

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