やぶ医者大賞の表彰式で受賞者と記念撮影する大林賢一市長(左)=2024年11月16日午後1時54分、兵庫県養父市、菱山出撮影

 過疎地域に貢献する若手医師らをたたえようと、兵庫県養父(やぶ)市が毎年催してきた「やぶ医者大賞」が今年、途絶えた。昨秋就任した市長が「市民に恩恵が見られない」と休止を決めた。「藪(やぶ)医者」は下手な医者を意味する言葉だが、過去の受賞者らは「あこがれの賞」という。復活を求める声が上がっている。

 「藪医者」の語源には諸説ある。日本国語大辞典(小学館)によると、「呪術を医薬とともに用いる者」という意味の「野巫(やぶ)」に由来する。

 養父市が主張するのは「養父医者」説だ。江戸時代に松尾芭蕉の門弟が編纂(へんさん)した俳文集に、但馬(現在の兵庫県北部)の養父にひっそりと住んでいた名医が「死にそうな病人を治すほどの治療を行うことも少なくなかった」とある。養父市によると、「自分は養父の名医の弟子だ」と評判を悪用する医者が続出し、藪医者はいつしか下手な医者の代名詞になったとされる。

 この逸話にちなみ、養父市は2014年にやぶ医者大賞を創設。過疎地の診療所に5年以上勤める50歳以下の医師らを毎年2人ずつ、昨年までに計22人表彰した。

市長「市民に恩恵見られない」

 だが、昨秋の市長選で初当選…

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