ハワイになぜ、日本式のお墓があるのだろう。そんな疑問をきっかけに、三重県鈴鹿市の小川はつこさん、隆平さんは、日系移民の歴史と、彼らのよりどころだった日本寺院の取材を続けてきた。この5月、その成果をまとめた2冊目の著書を出版した。2人がハワイで感じたのは、日系移民がとけ込んで暮らす、多民族・多文化の島の多様性だ。
2012年冬、2人はリゾート旅行のつもりでハワイ島を訪ねた。レンタカーで島をめぐっていてあることに気づいた。
日本式のお墓があちこちにある――。日系移民たちの墓地だった。
「墓碑の享年を見ると、幼児や若者が多かった。石ころのような溶岩の丸石を置いただけのお墓も目についた」とはつこさん。
明治初期から国策でハワイにわたった日系移民たち。その厳しい生活を象徴していると墓地から感じとったことが、取材の原点だという。
早期退職後の取材で触れた日系人の貧しい暮らし
2人は県内の公立校の元教員…