イスラエルによるイランへの攻撃をめぐり、イランが数日内に再報復を仕掛けるとする観測が相次いで報じられている。イランの出方次第では中東情勢の混乱に拍車がかかる恐れがあり、緊張が高まっている。
米ネットメディア「アクシオス」は10月31日、イスラエルの情報機関筋の話として、イランが11月5日に控えた米大統領選の前に、イラク領内からイスラエルを多数のドローンや弾道ミサイルで攻撃する可能性があると報じた。イランは米国やイスラエルに対抗する「抵抗の枢軸」と呼ばれる武装組織のネットワークを、イラクを含む中東各地で支援している。パレスチナ自治区ガザのイスラム組織ハマスや、レバノンのイスラム教シーア派組織ヒズボラもその一角だ。
アクシオスは、イランが本土からではなく、イラクの親イラン組織を通じて攻撃を実施することで、さらなるエスカレーションを回避しようとしている可能性があると指摘している。米CNNも31日、高官筋の話として、イランが米大統領選の前に、イスラエルに対して「決定的で痛みを伴う」対応を取る可能性があると報じた。
イランは10月1日、ヒズボラの最高指導者が殺害されたことなどへの報復として、イスラエルを約200発の弾道ミサイルで攻撃。これに対しイスラエルが26日未明、イラン国内のミサイル製造施設や防空システムなどの軍事施設を攻撃した。
イラン側からはイスラエルへの反撃を示唆する発言が続いている。イラン政府系のタスニム通信によると、革命防衛隊のサラミ総司令官は31日、国内の演説で、イスラエルが「想像を絶する報復を受けるだろう」と強調した。(イスタンブール=根本晃)