「ウサギの島」と知られる広島県竹原市の大久野島で、野生のウサギ7匹を死傷させたとして動物愛護法違反の罪に問われた、住所不定無職の男(25)の判決公判が広島地裁呉支部であった。島崎航裁判官は「暴行は危険性が高く、一方的に暴力を受けるウサギらの姿は痛ましいというほかない」として、懲役1年執行猶予3年(求刑懲役1年)の有罪判決を言い渡した。
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判決によると、被告は1月9日と21日、島内の遊歩道近くなどでウサギ7匹の頭を踏みつけたり、脚の骨を折ったり、口にハサミを入れたりするなどして1匹を死なせ、6匹を傷つけた。
判決は「被告は(暴行された時の)ウサギの反応を見たいと思い犯行に及んだと供述するが、このような動機に酌量の余地はない」とも言及。だが、勤務先を退職せざるを得なくなるなど社会的制裁を受けていることから、執行猶予を付けた。
島崎裁判官は判決を言い渡した後、「ウサギを加害したいという気持ちになった時は、周りに相談してください」と語りかけた。被告は黙ってうなずいていた。
弁護人によると、控訴しない方針。
公判で検察側は、被告の動機について、こう言及していた。
勤務先の上司の指導が厳しくなった影響で昨年9月に休職。静養中に見た動画で大久野島のウサギに関心を持ち、狩猟で捕獲されたウサギの解体場面などを動画で見るうちに嫌がらせをして反応を見たいと思うようになった、としている。
環境省によると、大久野島では約500匹のウサギが生息しているとされるが、昨年11月下旬から約2カ月間で、99匹のウサギの死骸が確認されたという。