特別支援学校の先生に自宅に来てもらって学習支援を受ける医療的ケア児。野菜を使ったスタンプ(事件とは関係ありません)=母親提供

 「張り詰めた、ギリギリの毎日。何かの拍子に、その糸がぷつりと切れてしまったら……明日は我が身、という思い」

 寝たきりの長女(14)を自宅で介護する佐賀県の女性(44)は、年明けに起きたある事件に動揺していた。

 医療的ケアが必要な7歳の娘の人工呼吸器を外したとして8日、福岡市の44歳の母親が殺人の疑いで逮捕された。経緯や動機については県警の捜査が続くが、逮捕時に母親は「娘を殺して私も死のうと思ってやってしまった」と供述し、その後「元に戻りたい」「娘に会いたい」と話したという。

 佐賀県に住む女性の長女は遺伝性の難病で、口から食べることができず、管を通じて胃に直接水分や栄養を入れる胃ろうの状態だ。水分注入は1日6回、ペースト食の注入は1日3回。おむつや体位替えのほか、体調が悪いときはたんなどの吸引も必要になる。

 夫と長男との4人暮らし。

 ケアを担うのは「8~9割方は自分」という。支援や送迎のスケジュールを関係各所と調整する必要もあり、夫婦での分担は難しいと感じる。平日の日中は、特別支援学校や放課後等デイサービスで娘が外に出ている時間もあるが、9連休だった年末年始は多くの福祉サービスも止まった。

「私がいなくなったら…」思い詰めることも

 負担と緊張が自分一人にのし…

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