Smiley face
写真・図版
クマによる人身被害を防ぐ対策のポイントを説明する近藤麻実さん=2024年6月28日、秋田市の秋田県庁、松村北斗撮影

 クマの出没が人が暮らす街や集落で近年問題になっている。とくに秋田県では昨年度70人がツキノワグマの被害にあい、社会課題として注目された。クマとどう向き合い、暮らしていくか。秋田県の専門職員として被害状況の現地調査や対策に取り組む、県ツキノワグマ被害対策支援センターの近藤麻実(こんどう・まみ)さん(40)に聞いた。

 昨年度の秋田県はクマによる人身被害件数が過去最多となり、出没件数も多かったため、ひどい状況だと注目されたが、あれが日常ではない。人身被害は2020年度までの32年間で計279人。昨年は本当に極端な年だった。

 ツキノワグマはどんぐりがなるブナやミズナラ、コナラに限らず、サルナシ、ヤマブドウなどさまざまなものを食べて生きている。それぞれに豊凶の波があるが、昨年はすべてがそろって凶作になるという、確率的に非常に低い事態が起きてしまった。山に食べ物がないので、クマがこぞって山から下りてきた。

 今年はブナの実がある程度なっているので、おそらくそのような事態は起きにくいと思っている。ただ、クマの分布が広がっていることは確かなので、クマと人とのほどよい距離を取り戻さないといけないというのが、対策を取るうえでの大きなテーマだ。

 秋田県には推定2800~6…

共有