過去や現在を知れば未来を予見できるようになるのでしょうか。コロナ禍に襲われた日本で「この災厄を予見した作品だ」と話題になったのが漫画「リウーを待ちながら」でした。新型ペストの感染爆発で封鎖された地方都市を舞台に医師らの苦闘を描いた作品です。あのとき作品が読者たちに届けたものは何だったのか。作者の朱戸アオさんが考えました。
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コロナ前に描いた「日本で感染爆発が起きたら」
新型ペストの感染爆発が起きて封鎖された地方都市で、医師らが絶望的な闘いに挑む。そんな漫画「リウーを待ちながら」を2017~18年に描きました。
もし日本で感染爆発が起きたらどうなるのか。防衛省の関係機関を実際に訪ねるなどして、勉強しました。作中には防護服や疫学研究者が登場し、「濃厚接触」「緊急事態宣言」といった言葉が飛び交います。
連載中には正直あまり話題になることはなかったのですが、20年にコロナ禍が広がったことで突然注目されました。「コロナ禍を予見した作品」「予言のようだ」と言われたのです。
読者がつかんだのは「未来のイメージ」
読者がリアルだと感じたのは…